ボカロキャラのクラスタとしての役割

feat.初音ミク巡音ルカと表記されたCDがオリコンを騒がせることも増えてきましたが、それを買う人の全員が全員、アニメのキャラソンのようにボーカロイドのキャラクターに萌えていると思われるのは少し事実と反します。

ボカロキャラは、魅力はあるけどバラバラになっていた音楽をまとめるクラスタとしての役割も持っているからです。

この世にはインディーズどころか何にも属さない音楽が無数にあります。そこではオリコンビルボード上位には絶対載らないような、音楽の根源的な楽しさを持つ曲を聴くことができたりします。世間には知られずともブームが起こればシーンが盛り上がることもありますが、大抵の場合尻すぼみになっていきます。なぜなら良くも悪くも玉石混交で、数が多すぎて探しきれなくなるからです。基準も尺度もないから当然ランキングもありません。自由と平等といえば聞えはいいものの、ただひたすら砂粒のように拡散していって、初心者には何をきっかけにどう聴いていったらいいかも分からない状態になるんですね。

一方ボーカロイド界には"ミク"、"リン"、"レン"といったアイコンがあるから、メジャー流通以外の様々なミュージシャンの音楽にも比較的容易に触れることができるようになりました。本来出会うはずのなかった個々の音楽を、ボカロキャラがクラスタとして機能することでグループ化して、無限に拡散していくのを防いでいるんですね。これは本当に素晴らしいことだと思います。
ぼくは声や容姿がかわいいからというより、いち音楽ファンとして"初音ミク"はその象徴として好きなんです。